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坂田家の日常。

第2章 旅行篇。


②。

「で、旅館に着いたけど…特にどうってこと無いじゃないですかぃ?」
土曜日の昼過ぎ。坂田家一行は旅館に着いた。どんな旅館か、と思っていたら特に何処も代わりは無い、平凡な旅館だった。
-唯一つ、客がほとんど居ないことを除けば。
「アレだろ?ほら、くじ引きで当たった人用に貸し切りー、とか。」
と銀時は言うが、顔が明らかになんかあるんだ、という確信を持っている。
「まず、チェックインしようよ!此処で立ち止まっててもしょうがないし。」
と、雪乃は兄弟を引き連れて中へと入っていった。
「すみません、何方かいらっしゃいませんか?」
雪乃は、呼びかけるが返答はなかった。
とりあえず、坂田一家は中へと入ることにした。すると、お客様一覧の中に「坂田家御一行様」と書いてあった。
「お、有るじゃねぇか。んで、此処にチェックして…と。」
晋助は躊躇いなくペンを取り、チェックを入れた。
-其の瞬間、顔を何かが掠めた。
「…っ、何だ!?」
そういって飛んできたものを見る。其れは、現代にしては古風な「クナイ」だった。
「誰が、こんなもん…「わっちでありんす。何勝手にチェックを入れてるんじゃ主らは。」…え、あれ?月詠!?」
銀時が声のした方を見ると、其れは従姉妹の「月詠」だった。
「月詠姉!!なんで、此処に?」
「おぉ、雪乃か。久しぶりじゃのう。」
そういって、月詠は雪乃を見てふ、と口元を綻ばせた。

-事の経緯は3日前。この旅館の女将「お岩」が急用で出迎えられなくなり、其の日チェックインしていた月詠が手伝うことにしたのだった。

「…と、いうわけじゃ。他にも手伝ってもらおうと思って、こいつらも雇った。」
と指を指す方向には桂、また子、万斎がいた。
このメンバーを見て、坂田一家の思考は全員一致した。

『こいつら、ちゃんと経営できてんの?』と。
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