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Dearest【降谷零夢】

第3章 近づく距離


あの買い物をした日から数日後、たまに2人で外出する事が増えた。
変わらず俺は帽子とサングラス着用で葉月さんは無表情。

「(あれから多少なりとも表情の変化が分かる様にはなったけど……。)」
『降谷君、ついでに買い物してもいい?』
「何買うんだ?」
『お昼、サンドイッチ作ろうと思って……』
「ならパンとか買わないとな。」
『うん。少し行くとスーパーあるんだけどそこが結構安くて。』
「あぁ、あそこに見える店?」
『そう。しかも今日は特売日だから今のうちに買っとかないと。』

まるで主婦だなと思いつつ、スーパーの中に入ると予想以上に混雑していて驚いた。

「……すごいな……。」
『今日はちょっと多いかな。』
「これでちょっと?!」
『元々、安さが売りのスーパーだから主婦さん達がこぞって買いに来るの。』

近くにあったキャベツの値段を見て納得したが、これは移動するにも大変だろうな。

「ちょっと立ち止まって邪魔よ。」
『わっ……!』

カートを引いてるオバさんが葉月さんを押し退けて先へ歩いていった。
よろけた彼女を支えてやり謝りもしないオバさんにムッとする。

『ごめん、ありがと。』
「いや、大丈夫だったか?」
『降谷君が支えてくれたから平気。』
「にしても、あんな言い方で謝りもしないで何なんだ。」
『まぁまぁ、いつもの事だから気にしないで。』
「……怒ったりしないのか?」
『んー……こんな事で変な労力使いたくないからしないかな。』
「それもそうか。」

それでもさっきみたくならない様にと手を差し出せば、葉月さんはキョトンとした顔をする。

「はぐれたりしたら大変だから。」
『大丈夫だよ、降谷君の身長高いし私もそんなに小さくないから後ろから着いていく。代わりにはい、これ持ってね。』
「……カゴ……」
『最初にレタス取りに行こ。その後はハムとパン、ついでに卵も欲しいね。』
「……りょーかい、あれだったら服掴んで構わないから。」
『うん。』

彼女が後ろにいるのを確認しつつ売り場を回っていく。
安い食パンを選ぶ葉月さん。

「それで良いのか?」
『これで充分だよ。』
「パサパサしてそうだけど……」
『それは後でのお楽しみという事で、会計しちゃおう。』

レジに並んでるとさっきのオバさんがカートを押して向かってきた。











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