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Dearest【降谷零夢】

第6章 幕間


巷で零が人気だとかで、その辺疎い私に兄さんがアニメを見せてくれると数日前に約束した。

『(まさか、それを引き合いに出してくるなんて……!)』
「見なくても良いなら大学無しにしてあげるよ。」
『……兄さん、やり方卑怯だわ。』
「何の事かな?何かを得るには代価が必要だろ?」
『……あーもう!分かりました!大学行くから見せて!』
「よし、早速どこの大学にするか決めるか!」
『待って、大学入試ってこの時期やってるの?』
「それは、ほら……家の力使えば……!」
『……兄さん。』

ジトっとした目で兄さんを見れば、良い笑顔が返ってくるだけ。
そりゃあ葉月家の権力使えば簡単でしょうけど……

『私なんかの頭で行けるものかなぁ……』
「余裕だと俺は思ってるけど?」
『高卒止まりなのに?』
「ただ家で籠ってたわけじゃないだろう?」
『そうだけど……』
「大学行ってくれるなら全面的に協力するよ。」

兄さんは笑って、目の前に何かのDVDを出してきた。
何だろうと思って見てみれば……

『“名探偵コナン”』
「見たいんだろ?」
『……1から見ろと?』
「いや、零が出てる所だけの方が良い。あらすじは簡単に教える。」

DVDをセットして、画面に小さな少年が現れる。
この子がコナン。
ポアロという喫茶店で零が出てきた。

『……少し大人っぽい?』
「ふはっ……あれで29だよ。」
『え?嘘でしょ……』
「本当。俺達はちょうど10年前の零に会ったんだな。」

笑ってる姿や仕草を見ると泣きたくなった。

「……見るのやめるか?」
『ううん、ちゃんと見るよ。』

そうは言ったものの、恐らく見るのはこれっきりだと思う。

『(何回も見たら会いたくなっちゃうしね……)』
「トリプルフェイスなんて普通やってらんないよな。」
『トリプルフェイス?』
「そ。」
『……身体壊さないかな……』
「はは!もしも、また会えた時にでも言ってやれ。無茶すんなー!ってな。」
『うん……。あ、兄さんお腹空かない?』
「あー、そういえば減ったな。」

私はいそいそとサンドイッチを出した。
それに目を輝かせて喜ぶ兄さん。

「頂きます。……うまっ!何これ」
『あのね……』

作り方を教えれば、兄さんは目を見開いて固まる。
首を傾げて理由を聞けば、アニメの中で零が作ってるモノと全く同じ作り方らしい。

マジか……。

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