• テキストサイズ

Dearest【降谷零夢】

第6章 幕間


『約束……?』
「そう、俺が孤児院から引き取られた時に君の両親が俺の親となった。」
『……え?だって……貴方は……お祖父様の……』
「……分家はどこまで嘘をつくんだか……まだ両親が生きてる時に引き取られて戸籍に入った。確かに前当主の意向ではあったけど、俺を息子として迎えたのは紛れもない君の両親。」
『……戸籍上、私と貴方は……』
「兄妹だよ。」

意味が分からない。
この人と私が兄妹?

『……だって……あんな憎しみを向けて……』
「うん、初めは憎んでたよ。やっと引き取ってくれる家族を見つけたのに、こんなデカイ家の当主として育てられて分家の奴等に良いように扱われて、本来継ぐ筈の君が家とは関係ないとこで守られて生きてるのを知った時は憎くて仕方がなかった。」
『なら、何で今更……!』
「……両親が殺されて、君の事情を知って……約束を思い出した時に俺は何してんだろって……」
『さっきから約束って……』
「両親から君を守って欲しいって、兄妹になったんだからと。俺も妹が出来て嬉しかったから承諾したんだ。」

うちの両親は本当、肝心な事を伝えずに……。
思わず頭を抱えてしまった。
どんな形であれ、普通は娘に家族が増えた事を言うんじゃないだろうか?

『(……あぁ、そういえば変なところで抜けてる両親だったなぁ……)』
「……彼のおかげで俺も前へ進める様になったんだ。」
『……彼?睦月さん?』
「ははっ。違うよ、降谷零君だよ。」
『あっ……』
「彼が俺達の間に入ってくれたから今こうしてゆっくり話せるんだ。」
『……零が……』
「うん。彼から聞いたよ……君が両親の死について知ってる事も、その上で相談があるんだ。」
『……相談?』
「君が良ければ、これからちゃんと兄妹としてスタートしませんか?」
『……へ?』
「ついでに言うと、当主としての俺を支えて欲しいな。妹に支えてもらうのも可笑しい話だけど、まだ結婚とか考えてないし今の状態でそんな事言い出したら分家の奴等が好き勝手してきそうだから。」
『……あー……何となくわかります。でも、私が表に出るのを分家の人達が許さないんじゃ?』
「え?当主俺だよ?そんなの黙らせるに決まってるじゃないか。」

若干……いや、かなり黒い笑みで私の兄となったこの人は悪態つく。

「正式に兄妹としてやるなら、これ以上分家に口出されるわけにはいかないからね。」

/ 56ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp