• テキストサイズ

Dearest【降谷零夢】

第4章 接触


睦月の話によると幸紀は愛の3個上で、本来当主になる予定だった愛の父親が亡くなった事で養子に迎えられたという。

「この葉月家は本家分家ともに直系の男児に恵まれず、愛様のお父様が唯一最後の直系でございました。故に親族の方々は幸紀様を養子に迎えご当主とされたのです。」
「直系の娘なら愛が次期当主だったんですよね?」
「はい。しかし……愛様には生まれつき特殊な能力がありました。」
「……動物と話せる。」
「……それを分家の方々は……」
「睦月さん、喋りすぎだよ。」
「ゆ、幸紀様……」

苦笑しながら睦月を止める幸紀。
降谷は先日会った時と雰囲気が違う事に気付いた。

「この間振りだね、降谷零君。」
「……何の為に俺をここへ?」
「話がしたいと書いただろう?とりあえず部屋へ行こうか、此処だと人の目がある。睦月さん人払いをお願いします。」
「かしこまりました。あとお茶をお持ちいたします。」
「すみません、ありがとうございます。」

幸紀に連れられ和室に通された降谷は言われたまま座り、周りを見渡す。

「珍しいかい?」
「いや、そういうわけじゃなくて写真があるなと」
「あぁ、あれは今までの当主だった人達だよ。」
「……先代は愛の祖父か。」
「うん。当主の座を譲る前に愛ちゃんのお父さんは亡くなったからね。」
「……彼女から全部聞いた。自殺したんだろ?」
「違うよ。」
「は?」
「彼女の両親は自殺なんかじゃなく、分家に殺されたんだ。」

思わぬ真実に降谷は言葉を失った。
幸紀に愛の口から聞いた話をする。

「……実業家だったのは本当だよ。あの人は自分が此処の跡取りだなんて言ってなかったみたいで知らないんだ。」
「でも親族が愛に会ってたんだろ?」
「……知らないのを良いことに全くの嘘を言っていたんだ。愛ちゃんが当主にならない様にする為に、分家は本家の人間の言う事に逆らえないからね。」
「なるほど。それで……あー、幸紀さんは何であんな真似を?」
「幸紀で構わないよ。俺は全くの他人だから、嫌われても気にしないけど真実だけは教えたいんだ。」
「……真実なんか知ったら愛は復讐するかもしれないのに?」
「それでも知らないよりは良い。」



/ 56ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp