第2章 クロハの運命論
「そろそろ、だな」
俺はそう呟くと、穴に近づく。
それを見たは悲しそうに目を伏せた。
「行くの…?」
「あぁ。
運命、だからな」
運命は、常に一つしかない。
その過程が何であっても、結局は同じ結末に辿り着く。
「ねぇ、クロハ」
「あ?なんだ?今俺の邪魔すんなら、お前もここで殺るぞ?」
俺がこれから行く世界には、あいつの知り合いがいる。その知り合いもまた、その運命に飲まれている奴の一人だ。
「いや、そーじゃなくってさ」
苦笑しつつ、は言った。
「運命にも、分かれ道とかあったりするんじゃないかな?」
アイツが消えて、しばらくして、俺はとある場所に立っていた。
「…どこだ、ここ」
そして、俺は後々気づくことになる。
俺自身も、運命に流されている者の一人であるらしかった、ということに。