第2章 2部
「カミナの腕、つめたい」
「そりゃお前が熱いんだ」
そう言いながらカミナは酒瓶を煽った。彼はまだまだ呑めるらしい。
カミナに頬をすり寄せ、自分の足を抱えて丸まった。その様子にカミナが笑って、肩を抱いてくれた。
なので私は更にカミナにすり寄る。胸に頬が当たりカミナの体温を感じた。
(…お酒って凄い)
アルコールで浮かれた気持ちはそのままカミナに触れていたい気持ちに変わる。
素面だったら絶対こんな事は出来ない。
(…やっぱり…私、カミナの事。すごく)
好きだなあ…と心の中で呟いた。
二年経っても変わらない気持ちに我ながら驚くが、酩酊故にどこか霞が掛かっている。
(今なら…言えるかも)
伝えたい、この気持ちを。
(カミナが好き)
三年間ずっと好きだった。彼が本当はもういないとか幽霊だとかなんて、とっくに関係無かった。
(すごく好き)
皆の、私の憧れで、とても特別な人。
(カミナ…!)
意を決して、私は上擦る声を絞り出した。
「…カミナ」
酒瓶を置いて、カミナが私を見下ろす。
「おう、何だ?」
話に集中しようと薄暗くしておいた照明が、カミナの顔を橙色に染める。
なかなか声が出なくて口をぱくぱくさせながら、私もカミナの顔を見上げた。
「あの…」
「ん?」
声が震える。
何かを言い出そうとしている私に気付いたのか、カミナが真剣な眼差しをした。
「あの…カミナ」
カミナの名を呼ぶのが精一杯の、意気地が無い私はそのまま声を途切れさせ、ただカミナを見つめていた。
「…」
「は、はいっ」
言葉が続かない私に、カミナは抱いていてくれていた肩を引き寄せた。
「…わっ…」
「、俺はな」
「う、うん」
話すカミナの顔が近い。そのまま引き寄せられカミナの胸に顔が埋まる。
「…っ!!」
「俺はな、。お前が本当に大事だ」
「…カミナ?」
カミナの言葉が理解出来なくて、触れた胸元の体温に耳が赤くなる。