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Invisible world【グレンラガン】

第2章 2部


政府のエリート候補のギンブレーと、大グレン団初期メンバーとはいえ現在は一介の民間人の私。
この組み合わせが珍しいのか時々囃し立てられるが、お互いに全くその気が無いので首を傾げるばかりだ。


そして今日もまた週一回の授業に、ギンブレーと並んで学校に向かっている。
歩くスピードを合わせてくれているギンブレーが私を振り返った。
「そうそう。あなたの事は話題になってますよ。週一で講義に現れる美女って」
砕けた口調で冗談交じりで言うギンブレーに、私は惚けた返事を返す。
「へー。誰それ」
「誰でしょうね?」
ギンブレーも惚けた返事をした。

彼はわりとこういうジョークを言う。それ以前に口数も多い。
他の人からたまにギンブレーの噂話を聞く時は『堅物・真面目・根暗・眼鏡』等の感想しか耳に挟まないので、このギンブレーはきっと私の前でだけ、なのかもしれない。
それはちょっとだけ嬉しいので、彼の数少ない友人として誇らしいと思う。

「…と言うのは冗談ですが、たまに私の所に言ってくる奴はいますよ。あの子誰だ紹介しろって」
全く、テッペリン戦の英雄を知らないなんて! と少々明後日の方にぷんすか怒るギンブレーに思わず噴き出した。
「嘘。そんな話初めて聞いた。それはギンブレーに迷惑かけたね」
「いいえ、とんでもない」
ギンブレーはにっこり笑い頷く。そしてこっそり耳打ちしてきた。
「さんには好きな人がいらっしゃるのに」
「ねー」
私も笑って、頷いた。



ギンブレーに尋ねられるグアーム戦以前の大グレン団の戦いという事は、必然的にカミナの話が多くなった。
そう、ギンブレーはカミナの事を知らない。
テッペリン戦直後は都にあった写真機で写真も残せたが、それより前はカミナの事を現せるものが何も無い。シモンの作るカミナ像位だ。
それに気付いた時は愕然としたが、ギンブレーのきらきら輝く憧れの視線の元にはそんな物は必要無かった。

とうとうとカミナについて語る。私自身が村を出た理由からカミナに会うまで。
キタンに連れられて旅をしてきた道中。大グレン団のリーダーに遂に出会えた時の話には、ギンブレーも声を躍らせて続きをせがんでくれた。
そして続く、心を抉られたカミナの死の話。知らず流れ落ちた涙にギンブレーは無言でハンカチを差し出してきた。
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