• テキストサイズ

Invisible world【グレンラガン】

第1章 1部


カミナと過ごす休暇もそろそろお仕舞いにしようと思う。
そろそろ整備部の仕事に戻るね、とカミナに伝えると「おう! 頑張れよ!」と応援された。

お昼に家で待ち合わせようと約束をし、カミナシティをぶらぶらと散歩してくると言うカミナに見送られ、久々の公園整備に戻ってみると思いの他溜まっていた仕事に目が丸くなる。
屈託無く出迎えてくれた仲間達に悪いなあと思いつつ感謝した。

「さん、何か明るくなりましたね」
作業中に度々仲間に言われる言葉に気付くが、確かに笑う事が多くなったと思う。
「お休みで何か良い事ありましたか?」
「うん、まあね」
理由を尋ねられ愛想笑いで誤魔化すが、それは確実にカミナのお陰なのだ。


「!」
「ヨーコ!」
昼休みになり約束通り自宅に戻りカミナと昼食を摂っていると、赤髪の長髪を靡かせたヨーコが訪ねて来た。

「お帰り! お休みはどうだった?」
「お陰でゆっくり楽しく過ごせたよ」
「良かった」
ヨーコの顔がほころぶ。そう言えばお茶でも飲みに来てと誘っておいて留守がちだったのを思い出し、茶器の用意をした。
「私もお昼休みだしゆっくりして行って」
そうヨーコに言いながらカミナにもこっそり耳打ちする。
(いいかな?)
「勿論良いぜ」
昼食を頬張りながら、カミナが手を上げた。

食事も勧めたけれど丁重に辞退したヨーコは、カップを両手で抱えながらじっとその茶の表面を眺めている。
いつもと違う友人のその様子に首を傾げながら、私もカップを手に取った。
彼女は何かを言いたそうに、でも躊躇っている気がした。

時間にすればほんの少しだったのだろう。しかし随分と長く感じた後、漸くヨーコが口を開いた。
「あのね、私、この街を出て行こうと思うの」
「え…っ?」
口に運ぼうとしていたカップの動きが止まった。

「ど、どうして?」
取り落としそうになったカップを置き、どもりながらヨーコに聞く。カップに向けられた目線のままヨーコが口を開いた。
「ロシウが一年前に一緒に戦った皆と政府を作ろうとしているのは知ってるよね?」
「うん。シモンが総司令で、でしょ?」
先日会ったキタン達も言っていた。向いていないと零したキタンの顔を思い出す。
「私にもね、協力してくれって」
大きく溜め息を吐いて、ヨーコが肩を落とした。

/ 145ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp