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Invisible world【グレンラガン】

第1章 1部


(今日は楽しかった)
カミナと行く、大グレン団の道のりをなぞった今日。
あの日はもう取り戻せないけれど、膿んでいた傷に瘡蓋が出来たのではないかと思う。
「ありがとう、カミナ」
カミナに再開してからもう何度だろう。また心の底から、カミナに感謝した。

「もっと世界を見てみてェな」
ぽいぽいと枯れ枝を放り、カミナが暗くなってきた外に目を向けた。
「俺が育った村がどんなに狭かったかが今なら分かる。地上がどこまでも続いている事も知った。後はそれをこの目で見るだけだ」
世界の全てを見る。
「そんでいつかは月まで見に行って、この世界を見下ろしてやらァ」
そしてカミナはそう言い、私の方に向かって笑った。

「そん時はお前も一緒に来いよ、」
「…うん」
カミナと旅をしたらそれは物凄く楽しいだろう。世界のどこに行ってもカミナと一緒だなんて。
それは途方も無く魅力的なお誘いだった。

外が完全に闇になっても雨は止まなかった。
どちらも、帰るとも帰ろうとも言い出さずじっと焚き火を見つめる。
少し眠ったので目は冴えていた。カミナも同じなのか目が合うと口角を上げて手招きしてくる。
のそのそと近付くと、ガンメンに乗った時の様に自分の膝の間を指差す。
「ちょっと寒いからな。ここならお前も風邪引かねェだろ」
その場所はやっぱり恥ずかしかったけどカミナの優しい微笑みに甘える事にした。

後ろからカミナが私を抱きかかえる。
正面は焚き火のお陰で暖かいし、背中はカミナの肌で暖かい。そう言うと、
「俺も暖かいぜ」
と私の頭に顎を乗せた。
カミナの体温が、優しさが暖かかった。

そのまま私達は朝まで、ぽつぽつとお喋りをして過ごした。
カミナの温度に包まれながら、私は今までで一番幸せだったと思う。

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