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Invisible world【グレンラガン】

第1章 1部


「んー…」
気付いたら眠っていたようだ。膝を抱えて眠ってしまった気がしたが、知らずに寝転んでいたらしい。薄く目を開けたら視界が横になっていた。

「お、起きたか?」
「ん…カミナ。おはよ…」
「おう」
先に寝ていたカミナだが、自分よりも先に起きていたらしい。頭の上から声が降ってきた。
(…上?)
ぱちりと目を開けるとやはり視界は横。しかし地面に寝ていると思った頭が妙に柔らかい場所にある。
慌てて横向きだった顔を仰向けにすると、カミナの顔が真上に。
「よく寝てたぜ」
にっと笑顔のカミナに、私は顔が茹るのが分かる。
あろう事か、私はカミナの膝を枕に眠っていた。

「―――っ!!??」
「いや俺が起きたらが寝苦しそうに膝抱えたまんま寝てたからな。苦しくないように膝を貸してやっただけだ。なんもしてねェよ」
飛び起きた私にひらひらと両手を振りながらカミナは胡坐を組みなおした。
(こっ…この人は…!!)
先程の様に助平心満載でからかってきたかと思えば、こうして優しくしてくる。
基本はド天然なのだろうが、恋心を持っていた身とすればカミナのスキンシップは近すぎて心臓が持たない。

私は早鐘を打つ心臓を押さえ、洞窟の天井を仰いだ。
「どうした?」
肝心の天然は首を傾げて私を見ているのだった。



心臓の音も気持ちも落ち着いた頃には焚き火が消えかけていた。
洞窟の奥に残っている枯れ枝をくべながら、じっと炎を見つめるカミナを横目に眺める。
「今日はありがとな、」
枝が足され炎の勢いが戻ってきた。ぱきりと折った枝を炎の中に放り込みながらカミナが呟いた。
「すげェ楽しかった」
視線は炎に向けられたまま、カミナがぽつりと声を出す。
「…私も楽しかった」
枝で焚き木を崩しながら、私も言う。

外は相変わらず土砂降りだった。いざとなったらガンメンに乗れば帰れるが無理はしないで今日はこのまま野宿でいいかもしれない。
雨は大嫌いだ。あの一年前の日を思い出す。
でも、眠ってしまう前に感じた絶望を思い出す感情の高ぶりは消えていた。体の震えもとっくに治まっていた。


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