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Invisible world【グレンラガン】

第1章 1部


何だか顔が熱いなーとは思っていた。
カミナと入ったジーハ村村長の経営する、ブタモグラステーキのお店でもあまり食事に手を付けられなかった。
ふらつく足で帰宅し寝床に倒れ込む。包んで貰ったステーキを取り落としかけ、カミナが慌てて受け取った。
「おい、どうした!?」
この時点で漸くカミナが私の異変に気付いた。全くもって鈍い。

「んー…なんだろ…あたまいたい…」
カミナにお願いして濡れたタオルを用意して貰い、額に乗せて改めて寝床に横になった。
「風邪か? うおっ熱すげェぞ」
「大丈夫。寝てれば治るよ」
私に言われるがまま洗面器に水を張り、濡らしたタオルを渡してからカミナは所在無げに寝台の脇に座っている。

風邪かと思ったけれど寒気はしない。それに何となく心当たりがある。
…私はカミナみたいな熱量で喋る事なんて出来ない。これはきっと知恵熱のようなもの。
カミナの代わりに皆と話すという事はきっと物凄く体力が要ることなのだろう。今日一日で随分エネルギーを使った気がする。

「俺は風邪なんて引いた事無いから何をすればいいかわからねェ。でも何でも言えよ」
そう言うとカミナは、布団からはみ出ていた私の手を励ますようにぽんと軽く叩いた。
「カミナは風邪引いた事ないんだっけ?」
「おう! 漢は風邪なんて軟弱なモンは引かねェ掛からねェ寄せ付けねェ! 向うの方から裸足逃げ出しやがらァ」
得意そうにガッツポーズをしてニッと笑う。
「そうだろうねえ…」
確かにカミナからだったら風邪の方が逃げ出すに違いない。灼熱の太陽のように暑く暖かいカミナ。

「おひさまは風邪なんか引かないだろうしねえ…」
「何だ? 、何て言った?」
「カミナはおひさまみたいだもんねえ…」
「?」
頭の奥がじんじんと痛い。
頭の中で考えているだけのつもりの事が口に出ているのにも気付かず、カミナに向かってえへへと笑った。

「…何か欲しいモンとかやって欲しい事とかあるか?」
「おー、カミナってば優しいね」
「まァな」
頭をよしよしと撫でられて、頭痛は相変わらずだが私は良い気分になる。
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