第1章 1部
(…忘れよう。この気持ちは)
カミナが好きだ。でも分かった。
今日、ヨーコとカミナを見ていて、そして皆と話して、閉じて封した気持ちに漸く向き合えた。
(私はヨーコに張り合っていただけだ)
ヨーコがカミナを好きなのは分かっていた。
二人の恋を見て辛かったのは、私が二人を好きだったからだ。
私はヨーコになりたかっただけなのだ。
「…昨日より明日に一歩ずつ進んでたら、私は先に進めるのかな」
自分が可哀想と竦んで動けなかった昨日より、微かに動かせた脚でほんの少しだけでも。
「あァ大丈夫だ。お前は俺が認めた大グレン団のだろ!?」
「…うん!」
そうしていつかカミナに、ヨーコに並べるのだろうか。
いつか追い越せるのだろうか。
目の前に居る彼は一年前に死んでしまった、私の『初恋だった』人。
彼が指し示す道に、やっと顔を上げて一歩踏み出せた。