第3章 3部(裏有)
「カミナ…っ!!」
やっと気持ちが伝えられて、やっと本当にカミナを愛せたのに。
夢で会えた、キタンも大グレン団の皆とももう会えないのだという事実に、私の両目から涙が溢れた。
私の多元宇宙迷宮は7年間の思い出と共に、光に飲み込まれ消えて行ってしまった。
――辛い。
カミナは言った。辛い時は傍に居ると。
…それでも、私はあなたと居たかった。多元宇宙でも、まやかしの世界でも良かったのだ。
本当はあの世界で、ずっと目を覚ましたく無かった。
「……!」
苦しさに押し潰されそうに、蹲る私に憤りながら、それでも顔を上げられなかった。
――が、唐突に自分の中に何かを感じた。
「…?」
涙に濡れた頬を拭い、自分の中の違和感の原因を探す。
「…ひょっとして」
普通なら自覚するなど有り得ない筈。でも確かに私は感じた。
カミナが居たその痕跡が、未来が。
私の中に。
「…カミナ」
彼が言った、『体大事にしろよ』という言葉。
「だから、あんな事言ったの…?」
彼は幽霊でも幻でも妄想でもなかった。
今なら分かる、あのカミナはきっと多元宇宙の隙間から飛び出して来たんだ。
それはなんてカミナらしいのだろうか!
そして彼の残してくれたもの。
「――また、会おうね」
私の中に生まれた新しい命に、泣き濡れた頬のまま微笑み、祈った。
・・・next epilogue