第3章 3部(裏有)
「見えなくなっても俺はお前のすぐ近くにいる。お前が辛い時もきっと傍に居る。だからもう泣くな」
「…うん」
「体、大事にしろよ?」
「…カミナ?」
突然の言葉に疑問を返すが、カミナの返答は無かった。カミナは照れたように笑うだけだ。
そしてカミナは自分の胸を指し示した。
「シモンも言ってたぜ。『あばよじゃねェ、一緒だろ』ってな。行けよ、!」
光量が更に増す。
光と涙でぼやける視界で私は叫んだ。
「ねえ、カミナ! ムガンに攻撃されてカミナシティから居なくなった時、あなたはなんて言ってたの?」
ムガンが来たあの時、何かを言っていたカミナ。
私の言葉にカミナは一瞬驚いた顔をしたが、すぐに破顔した。
「そんなの決まってるだろ?」
そして大きく息を吸い、カミナは力強く叫ぶ。
「愛してる、だ!」
「……!!」
泣きながら目を覚ましたら、ベッドの上だった。
ゆっくりと起き上がると、与えられた新政府の宿舎の一室。
随分寝てしまっていたらしい。窓から見える陽は高かった。
未だ混乱している頭を整理しようと、ふるふると頭を振った。
「…カミナ」
大グレン団の皆が宇宙に行ってしまってから、何度も夢を見た。
だからこれも、きっと夢なんだろうと思った。
…でも。
「…夢、じゃない」
そっと髪に触れた。
寝る前には確かに無かった、髪紐がそこにある。
それはシモンに渡した筈の髪紐。
そしてあの多元宇宙で、カミナに結わえて貰った髪紐。
「カミナ…!」
本当にさよならだったのだ。
何度も別離して何度も再会して、心を通わせ合えたカミナと、今度こそ本当に。