第3章 3部(裏有)
・・・epilogue
「見れば見るほど、アニキにそっくりだなあ…」
「ホントねえ…」
茶を淹れている間任せていたヨーコの膝上の赤ん坊を、まじまじと見ながらシモンが呟いた。
ヨーコも同意しながら、赤ん坊の体を自分に向ける。
「が子供が出来たって聞いて、相手は誰かと思えばねえ…」
赤ん坊をあやしながら、ヨーコがしみじみと溜息を吐いた。
「本当、今でも信じられないよ」
シモンもしきりに頷いている。
「でもこの顔見ちゃえば納得するわね」
「全くだ」
シモンがヨーコから赤ん坊を預かると、シモンはその赤ん坊をゆっくりと高い高いする。
「こんにちは、アニキとの赤ちゃん。俺はシモン、穴掘りシモンだ。よろしくな」
アンチスパイラルとの戦いが終わり、平和な時が訪れた。
メッセンジャーだったニアが消えてしまい、シモンはコアドリルとグレンラガンをギミーに託してカミナシティを去り、ヨーコは再び教師としてコレハナ島に戻っていた。
しかし二人は時々だけれど、こっそり私に会いに来てくれていた。
理由はシモンに向かって無垢に笑う、小さい生き物。
茶を淹れ終わり、シモンから赤ん坊を受け取ると私も椅子に腰掛けた。
「何でアニキがの事あんなに気に掛けてたのか、やっと納得したよ」
茶器を持ちながらシモンは赤ん坊を見て微笑んだ。
カミナが本当に居なくなってしまってから一年以上経つ。
最初はこの子の出自をこの二人以外に言う気は無かった。
そう二人に伝えると、ヨーコとシモンは顔を見合わせて笑い転げた。
この子の顔を見てカミナの事を思い浮かべない人はいない、と二人は笑う。
隠しようも無い面影のお陰で、カミナを知る人にはこの子の存在は受け入れて貰えていると思っている。
それ位、この子は彼の面影が濃かった。
それでもと、友人であるギンブレーには直接伝えてある。子供の出自を聞いて一番吃驚したのはギンブレーだろう。
しかし彼は私にとても協力してくれ、私達親子がカミナシティで何不自由なく暮らしていけるよう、ロシウと共に気に掛けていてくれる。