第3章 3部(裏有)
「俺の、俺らしく生きるってのは、どうやら終わりらしい」
「…終わりって」
「さよならだ」
「……!!」
予想していたカミナの言葉。
でも改めて聞いてしまうとどうしようもなく辛い。
ぼろぼろと泣く私の頬の涙を、カミナはその暖かい手でごしごしと擦る。
「泣くな。俺も泣きたくなるだろ」
「…う…」
頬を擦るカミナの手を取り、私は嗚咽を繰り返しながら頬を寄せた。
自分の手ごとカミナは私を強く抱き締める。そしてその声で、力強く言った。
「。お前に礼が言えて良かった。…ありがとな!」
「…!!」
いっぱい彼に救って貰った。
いっぱい彼に満たして貰った。
たくさんのキスと、たくさんの幸福。
カミナが居なければ私はこの幸せを知らなかった。
空が明るくなる。
私を照らしてくれたカミナのように、一筋の光が空から降った。
カミナが持っていたコアドリルを私に投げる。
慌ててそれを受け取り、私は空を見上げた。
この空はきっとカミナ自身。大きくてどこまでも続いていて私を皆を受け止めてくれる。
私自身が薄白く光を帯びた。
「カミナ!」
思わずカミナの名前を叫ぶ。
いつものカミナの笑顔。でも今までで一番優しくて強い笑顔だと思った。
「! お前の穴は埋められたか?」
「…カミナ?」
増した光の中、カミナが大声で叫ぶ。
「俺が死んじまってから、あの世界に戻ってこれた時、聞こえて来たのはシモンの声だけじゃ無かったんだぜ。お前の声もだ。…なあ泣き虫」
「…!」
「お前の心の穴が埋められたんなら、俺はそれでいいんだ」
豪快に笑うカミナに、ああと溜息を吐く。
私が好きになったカミナの笑顔だ。
「お前が好きだよ、」
「…カミナ! 私ずっとカミナの事が好きだから! 会えなくなってもずっと!」
「俺もだ」
止まらない涙。カミナも鼻を擦っている。