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Invisible world【グレンラガン】

第3章 3部(裏有)




「それにな。カミナが居るんじゃ俺達も死んだって納得せざるを得ねぇしな」
キタンが親指でカミナを指す。腕を組んでキタンの話を聞いていたカミナが苦笑した。
「…だから、皆にカミナが見えるの…」
「まあそういうこった」

大グレン団の皆まで死んでしまった。
シモンやここに居ない人は無事なようだが、それでも目の前の皆が死んでしまった事に衝撃を受ける。

黙り込んでしまった私の頭をキタンががしと掴んだ。
「落ち込むんじゃねーよ。俺達は好きでやったんだ。悔いは無いんだぜ?」
それに懐かしい奴にまた会えたしな! と、キタンは私達を見つめるカミナを振り返った。

私の頭をわしわしと撫でながら、キタンが笑う。
「なあ。まさかお前の相手がカミナだったとはなぁ」
「…!」
「カミナの奴、幽霊になってずっと俺達を見てたんだって?」
「…カミナに聞いたの?」
「ああ。さっきちょいとな。…おいカミナ」
「なんだ?」
「俺の大事な妹分を泣かせてるんじゃねぇよ。ましてやお前の好きな女をよ」
「うるせェ。お前だってヨーコの事泣かせてただろーが」
「ちょ! お前何で知って」
「俺を誰だと思ってやがる? このカミナ様は全てお見通しって事よ」
「くっ…」
キタンが真っ赤になって悔しがり、大グレン団の皆もどっと沸いた。

キタンがヨーコの事に赤くなるのにも驚いたが、七年前みたいに皆が笑い合っている事に驚く。
こんな光景がもう一度見れるなんて。


「じゃあな。俺達はそろそろ行くわ」
「…キタン、みんな…」
キタン達が手を挙げ、大きく振る。
「カミナ、お前はちゃんとと話せよ」
「うるせえっての。元々お前らが邪魔したんだろうが」
「へいへい。邪魔者は去るぜ。じゃあな」
「…うん」

カミナと私を残し、大グレン団の皆が朝焼けの空に溶けて消えた。
視界が霞むのは皆の屈託無い笑顔が、本当に消えてしまったから。

もう決して、会えないのだ。

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