第3章 3部(裏有)
「カミナ!!」
思わずカミナに向かって飛びつく。
いきなり飛びつかれたたらを踏むが、カミナは私を受け止めてくれた。
「心配したよ! 大丈夫だったの!?」
カミナだったら大丈夫と信じていた。
でもムガンの欠片の巻き添えになってしまったかもしれないとも思っていたから。
「当たり前だろ。俺を誰だと思っていやがる」
「…良かった」
豪快に笑うカミナに心配していた気持ちが吹っ飛ぶ。
「…ここ、どこ?」
無くなってしまった筈の自宅の光景に、恐る恐る尋ねた。
「俺も難しい事はよく分からねェ」
カミナが肩を竦め、そして握っていた掌を私に向かって差し出す。
「これ、お前のだろ?」
「!」
その手の中にコアドリルを見つけ、私は目を見開きカミナとそのコアドリルを見比べた。
「何でそれをカミナが?」
コアドリルはシモンが持っていた筈だ。
私の問いには答えず、カミナはコアドリルに通してあった紐を外した。
「あ…」
それは私がシモンに渡した髪紐。その紐をカミナは自分の手に載せた。
「シモンはお前まで連れて来ちまったみてェだな」
「どういう事…?」
カミナは答えず、私を抱き寄せた。
「!」
いきなり抱きすくめられ驚くが、カミナの真剣な様子に反射的に入った力が抜ける。
「…、会いたかった」
「!!」
耳元で囁かれ、思わずカミナを抱き締め返した。
「…カミナ」
「会えると思って無かった。シモンに感謝しなきゃな」
「カミナ? どういう事…?」
「……」
無言のまま、抱き締められる力が強くなった。
その力の強さ、ともすれば必死とも言えるその様に瞼が熱くなる。
「私も…会いたかった。カミナに会いたかった。これ、夢じゃないんだよね? またカミナと一緒に暮らせるんだよね?」
「……」
カミナの答えは無かった。その事に私の視界が霞む。頬が濡れる。
「おいカミナ! 女泣かせてんじゃねぇよ」
「そうだそうだ。を泣かせてんじゃねえ」
「ほら、俺のハンカチ貸してやっから」
「お前の汚いハンカチなんか貸すんじゃねぇよ」
「なんなら俺の胸で泣いてもいいんだぜ?」
唐突に届く賑やかな声に、思わず顔を上げた。
「!?」
「…うるせえ、お前ら邪魔すんな」
カミナが不満そうにその声の主達を睨む。
「…キタン。…皆も?」