第3章 3部(裏有)
「は連れて行けないけど、の魂は連れて行くから」
ここ数日で意思の強さを増した目で、とっくに抜かれた背丈のシモンが私を見下ろした。
「。その髪の紐、寄越して」
「これ?」
突然のシモンの言葉に、思わず自分の髪を束ねている紐を触る。
伸びていた髪を無造作に結わえていた紐を解き、それをシモンに渡した。
紐を受け取り、シモンはそれをコアドリルに通し胸に下げる。そして指で自分の胸を指し示した。
「の心はここに受け取った」
「…うん」
ヨーコとリーロンも頷いた。それを見てシモンが続けた。
「ニアを連れ戻す。皆と無事に帰って来る。約束するよ」
「…うん!」
無事に帰って来るという約束。帰って来るときは全員で。
その決意と強い意志に私は嬉しくなり、シモンの横で笑っていたヨーコに飛びついた。
シモンが、大グレン団の皆は、こうして旅立って行った。
(…カミナ、ありがと)
ヨーコに、シモンに会ってくれて。
夢かもしれないけど、私はカミナが本当に二人に会いに行ったと信じている。
カミナが姿を消した事とこの戦いは、決して無関係では無いだろう。
きっとこの世界のどこかにカミナは居る。それはひょっとしたら宇宙かもしれない。
…私も本当は、皆と一緒に行きたかった。
(でも、私もやるから)
私も出来る事をやりたい。
それはロシウの作る地上復興計画の手伝いかもしれないし、もっと違う事かもしれない。
(だから…また会えるかな、カミナ)
大グレン団の皆が飛び立っていった空の果てを見上げながら、私は大きく深呼吸した。