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Invisible world【グレンラガン】

第3章 3部(裏有)



「あのね…私、怖い」
「…うん」
やはりそうだったか。見開いた目を伏せ、ヨーコの言葉が続くのを待つ。
「ニアが全然別の人間になっちゃって、月が落ちてきて」
「そんなの…私だって怖いよ」
言い聞かせるように返事をするが、首を振る。
「分かってる。…でも今度の戦いに負けたら、私の大事な子供達が居なくなっちゃうかもしれない。そんなの怖い」
「ヨーコ…」

カミナが「ちいせえ島で先生やってたぜ」と教えてくれたのを思い出した。
コレハナ島で教師をやっているヨーコ。子供とは教え子達の事だろう。
ヨーコの大事なもの。やるべき事。
それが無くなってしまいそうで怖いと、目の前の友人は呟いている。
「……」
言葉が出なかった。

声を失った私に気付かず、ヨーコは続けた。
「シモンが居る、大グレン団の皆が居る。私だって戦える。そんな事は分かってる。でも理屈じゃないの」
「……」
頭を振るヨーコに何も出来ない、何も言えない。
言い躊躇って、ヨーコは私を見上げた。

「…少し前に…まだここに来る前、あいつの夢を見たの」
「あいつ…」
「カミナよ」
「…!」
突然の名に、心臓が跳ねた。

ヨーコはカミナの事が好きだった。
そのカミナが夢に出たというのに、ヨーコは苦しそうに呻いた。
「私が教師をやってるとこを見に来る夢。あいつ嬉しそうに笑ってた」
「…カミナが」
「私に笑いかけてくるの。お前はもう大丈夫だなって」
苦しそうに、掠れた声で言いながら、遂にヨーコの両目から大粒の涙が零れた。
「ヨーコ」
「違うの、私はちっとも大丈夫じゃない。何も出来ない」
俯き、両膝に涙が落ちる。
「あいつにそう言われたって、私はこんなに不安になる。戦いに尻込みしそうになる」
拳を握り、机に叩きつける。その衝撃で頬の涙が散った。
「…お願い、。一緒に来て私の背中を押して」




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