第3章 3部(裏有)
「…それなんだけど」
手持ち無沙汰に銃器のパーツを弄りながら、ヨーコが俯いた。
珍しく歯切れの悪い友人の言葉に首を傾げる。
弄んでいたパーツをかたりと置いて、何かを言い躊躇い逡巡した後、真っ直ぐに私を見て漸く口を開く。
「ねえ、も一緒に行かない?」
「…え?」
突然の台詞に冗談かと思ったが、ヨーコの目は真剣だった。
「でも私、グラパールの適性も無かったし」
慌てる私に対して、ヨーコはあっさりと頷く。
「知ってる。を危険な目に合わせちゃうかもしれないのも分かってる」
「じゃあ…どうして」
ヨーコらしくない物言いに、私は混乱した。
「それでも、出来れば一緒に行って欲しい」
「ヨーコ…?」
どうしたんだろう、ヨーコがこんな事を言うなんて。
「そりゃあ私も行けるなら行きたいけど…」
「じゃあ」
ぱっと顔を輝かせるヨーコ。
「でも、私を誘う理由は? ヨーコがそんな事言うなんてどうしたの? 何かあった?」
「……」
行けるなら行きたいのは本当だ。
でもこのヨーコらしくない様子に動揺してしまう。
彼女に何があったのか気になる。
私の問い掛けに俯いてしまったヨーコは、何かを言いかけてはいるが、思い切れないようだった。
開けたり閉じたりしている口に気付き、私は小さく溜息を吐く。
溜息に気付きヨーコがびくりと肩を震わせた。
(…怖がってる?)
突然、そう感じた。
ヨーコが強いのは知っている。六年前は勿論、再会した先日だって火器を振り回しガンメンを繰り、皆を助けてくれた。
そのヨーコが怖がっている。怯えている。
私はヨーコに近付き肩に手を置いた。その肩は微かに震えていた。
「あのねヨーコ。ヨーコが強いのは知ってる。でもヨーコがそれだけじゃない事も知ってる。どうしたの? 何があったか聞いてもいい?」
「…!」
ヨーコが勢い良く顔を上げた。涙こそ流していないが目は赤い。
黙って待つと、ヨーコはようやく口を開いた。