第3章 3部(裏有)
「相変わらずね」
「…!!」
ヴィラルに続き、もう一人の懐かしい顔を見付け私は目を見開いた。
声の主はグレン団の大柄な連中の体の影に隠れていたが、靡く赤色の髪で姿を現す。
「久しぶり」
がしゃん、と火器を地面に降ろし、赤色が微笑む。
「…ヨーコ!」
一瞬後、駆け寄り伸ばした手で彼女の手を掴んだ。
「本当に久しぶりね、。相変わらず元気みたいで嬉しいわ」
私の手を掴み返した彼女、ヨーコがその笑顔を輝かせた。
まさか会えるなんて思っていなかった。
六年前にヨーコがこの街から出て行き、会う事は無かったけれど時々手紙のやり取りはしていた。
けれど、こうして久々に会えて思わず涙ぐむ。
「ヨーコは綺麗になったね…」
友人の顔を確認して、まじまじと呟いた。
六年ぶりに会うヨーコは、更に目を引く美人になっていた。元々可愛かったけれど大人になり色気を増したと思う。
「やだ、それは私の台詞よ」
「えっ」
「は綺麗になった」
私は自分の体を見下ろす。ヨーコと比べると貧相な体つきにうんざりしてしまう。
「…あの…ヨーコ、お世辞はちょっと」
「にお世辞言ってどうするのよ。本当の事でしょ」
「えええ…」
「じゃあ言い方を変えようか。あのね、雰囲気が変わった。なんか空気が柔らかい。それがをすごく素敵に見せてくれてるよ」
雰囲気が変わったというのはキタンにも言われた事だ。
それをヨーコに伝えると嬉しそうにヨーコが笑う。
「やっぱりね。今のは綺麗。素敵。ねえ?」
「…ん?」
「好きな人、出来たでしょ」
「…!」
悪戯っ子みたいに笑うヨーコのウインクに、私は真っ赤になってしまった。
私は気付かなかった。
ヨーコの様子が六年前と随分違っている事を。
姿形では無く。
ただ年月を経たという訳でも無く。
ヨーコが私を遠い目で見つめている事に、その時の私は気付けなかった。