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Invisible world【グレンラガン】

第3章 3部(裏有)


「お前の雰囲気が変わったのはきっと、その…なんだ。その首のヤツのお陰だろ?」
もごもごと言い澱みつつ、キタンはまた私の頭に手を置いた。
「お前にそういうヤツが出来たんなら、俺は嬉しい。お前は俺のもう一人の妹みてぇなモンだしよ」
私の頭を乱暴に撫でながら、キタンが照れくさそうに笑う。
「お前がそいつとどういう関係なのかは知らねェが、大事な妹を泣かすようなヤツだったら俺が一発殴ってやるから連れて来い!」
そして片眉を上げ、拳を握る。
その様が本当の妹にしている仕草と変わらなくて、私は嬉しいし、とてもありがたい。

「…あはは」
「なぁに笑ってやがる」
「ううん。ありがとう、キタン」

私はカミナが死んでからずっと寂しかった。
でも、私にはこうして心配してくれる人がたくさん居た。
それはカミナに貰った幸せとはまた違う幸福で。
胸の奥が熱い。

(私は幸せ者なんだなあ…)
七年前の絶望が、六年前の渇きが嘘のようだ。
世界が暖かい。


「そういや…お前の相手って、俺の知ってるヤツか?」
拳を構えたまま、キタンが恐る恐る尋ねてきた。
その様もまた本当の妹に聞いているみたいで、私はまた嬉しくなる。
「…うん」
「何ィ!? だっ、誰だァ!?」
私は答えずにただ笑った。声を荒げたキタンだったが、私のその様子を見て肩を竦め笑いながら拳を下ろした。


グレン団のもう一人のアニキ。
兄貴分というよりも、キタンはお兄ちゃんという感じだけど。
キタンが居たからグレン団は、大グレン団はここまで来れた。
笑うキタンの姿がカミナと被り、思わず目を瞬かせる。

…カミナが今はどうなったかは分からない。
でも私はカミナがまだこの世界に居るのを信じてる。
『俺は俺のやるべき事がある』
カミナは約束を守る。やるべき事をきっとやっている筈だ。

だから私は、カミナと再び会える日まで、懸命に生きる事を決めた。



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