第3章 3部(裏有)
勿論理由は言えない。でも涙が止まらない。
只ならぬ私の様子に驚いたようだがすぐに何かを悟ったのか、キタンは私の頭をぽんぽんと叩いた。
「…。俺はお前が泣く理由を知らねぇ」
「…うう…」
返事は出来ずただ頷いた。
「でもな、お前が悲しんでる理由を言えねえなら、それでもいいんだぜ」
「……!」
「泣きたいならな、泣けるうちに泣いとけ」
「……うん」
許しを得た私は、キタンの前でわあわあと子供のように声を上げて泣きだ出してしまった。
カミナシティのカミナ像が、市民の手で倒された。
カミナが、シモンが守った世界の象徴が。私の拠り所だったカミナ像が。
ムガンの欠片で壊された街、爆発の中に消えたカミナ。
カミナが居なくなってしまったかもしれない。あのカミナ像のように。
その事に、私はようやく泣けた。
一頻り泣いて、キタンの前だという事を今更思い出した。
「ごめん…情けないとこ見せちゃった」
頬を擦りながらおずおずとキタンの顔を見上げる。
「気にすんな」
「…ごめん」
腫れた瞼のままキタンを見た。私の頭を軽く小突きながら、キタンが私を見下ろす。
「お前がこんな風に泣くとこ初めて見たぜ」
頬を掻きながらキタンが笑った。
「…そうだっけ」
「そだよ。お前はガキの癖に変に大人びやがってるからな」
「生意気って事?」
「ぶわぁーっか。違ぇよ」
がははと笑い、私の頭をわしわしと撫でた。カミナよりちょっとだけ乱暴に。