第3章 3部(裏有)
(最後じゃ…ないよね)
涙を払い、見送るカミナに後ろ髪を引かれつつも、一先ず急いでこの場を離れる事にする。
私がいつまでもここに居ては、カミナが行けない。
だが、駆け出そうとした私の背後でカミナが叫んだ。
「ッ! 危ねェ!」
「…!!」
声と同時に、物凄い力と速さで突き飛ばされた。
茂みに転がりつつ何事かと振り向くと、微笑むカミナがそこに居た。
口元が何かの言葉を形作っている。
「…なあ! ―――――!」
だがその声は私まで届かなかった。
「…カミナ!」
理由と、声と、言葉を聞きたくて、カミナに向かって手を伸ばした。
「――っ!!」
同時に辺りが爆音に包まれた。さっきまで二人で居た場所に巨大な何かが落ちる。
轟音と突風。私はカミナに突き飛ばされた茂みで蹲った。
後で知ったがそれはムガンの欠片だった。
閃光と共に墜落したその欠片は、すぐに弾けて消えた。
「…カミナ!」
茂みから慌てて這い出し、立ちのぼる煙の中を見回した。
「…カミナ!?」
先程カミナの居た場所が大きく穴が開いている。
「……!」
私の住んでいた家も半壊して、今も火が上がっている。
「カミナが…」
カミナが爆撃の中に消えた。
転がったまま呆然と座り込む。恐る恐る伸ばした手が空を掻いた。
家が焼ける。カミナとの思い出が消えてしまう。
…カミナも居なくなってしまった。
レスキュー隊が駆けつけて来るまで、私はそこに座り込んだままだった。