第3章 3部(裏有)
「カミナと離れたくない! そうだよ…『お前は俺のもの』って言ってくれたじゃない!」
畳み掛ける私にカミナが笑う。
「そうだ。お前の心は俺のモンだよ」
「…!!」
感情をぶつける私とは反対に、カミナの声は冷静だった。
サングラスの反射でカミナの目は見えない。でも口元は見える。
にっと口角を上げるカミナの笑顔に、私の心は痛みを増した。
「…カミナ!」
私の搾り出した声に、カミナが自分の胸を指差す。
「俺の心もお前のモンだ」
「…!!」
言葉が詰まる。
早鐘を打っていた心臓が止まりそうになった。
「だから、俺は行くんだよ」
私に近づき、カミナが顔を覗き込む。
止まらない涙を指で拭かれる。それで私の涙は益々流れた。
「泣くなよ。言っただろ。これは俺のやるべき事だ。」
「…やるべき事」
「ああ。この世界に俺が帰って来たのは、きっとこの為なんだよ」
「……」
「勿論、お前にも会う為だけどな」
言葉はもう出なかった。その代わり涙が止まらない。
「大丈夫だ」
私の頭に手をぽんと置いてわしわしと撫でる。
これはカミナにして貰った大切な事のひとつ。
「俺はちょいと行かなきゃなんねェ。でもな、。何があっても俺を信じろ。お前が信じる俺とシモンを信じろ」
そう言い、空を飛ぶグレンラガンを高らかに指差した。
「……!」
「だからお前は行け、」
「…分かった」
搾り出した私の声に、カミナが心の底から嬉しそうに笑った。