第3章 3部(裏有)
もう、会えない…!?
真っ白になった頭のまま、私から離れるカミナを呼ぶべく声を上げた。
掠れた声がカミナまでかろうじて届いた。
「――カミナはどこに行くの!?」
「俺は俺のやるべき事をやってくらァ」
悲壮めいた私の声と正反対に、カミナはわははといつものように笑い、炎を彩る暁のマントを羽織った。
「…!!」
気付いてしまった。
それは戦いの合図だ。
「待って! カミナお願い…今度こそ私も一緒に連れてって!」
気付いたら叫んでいた。
既に涙目になっていた私をカミナが振り返る。
「…駄目だ」
「どうして!?」
「今度はお前を連れて行く訳にはいかねェ」
首を振るカミナの髪が強く吹いた風で煽られた。
そこかしこで聞こえる破壊音や悲鳴で耳が痛い。
それは否応無しに七年前の悲劇を連想させる。耳鳴りもするが心臓が張り裂けそうに痛い。
「カミナだって言ってたじゃない! 置いてけぼりが一番辛いって!」
そうだ、これはカミナ自身が言ってくれた事。
「…!」
私の言葉にカミナが目を見開く。胸を衝かれたように彼の動きが止まった。
――置いていかれるのは嫌だ。行くなら一緒がいいんだ。カミナと一緒がいいんだ。
ぼろぼろと泣く私は只の我侭な子供だ。
それでもカミナと共に行きたいと願うのは、昔から変わらない事。
「…そうだったな」
鋭角な紅炎のサングラスを掛け、カミナが呟く。
久々に見たその姿が、私の知っているカミナで大グレン団のリーダーで、皆の太陽だった。
大空に喩えられるほどに大きい彼と愛を交わした。
好きだと言って貰えた。
これからも愛して欲しい。
ずっと共に過ごしたい。
赤くなる空に反射するサングラス。その光と永遠に一緒に居たいんだ。