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Invisible world【グレンラガン】

第3章 3部(裏有)


――先に異音に気付いたのは私だった。
きょろきょろと見回す私にカミナはが怪訝な顔をした。
「どうした?」
「…何か変な音がしない?」」
妙に外が騒がしい。首を傾げた私を見てカミナの顔つきが変わった。

「ちょっと見てくらァ」
「私も行く」
「お前は待ってろ」
打って変わって真剣な声と表情で、カミナは私を押し止める。
それを疑問に思った瞬間、轟音がした。
「何!?」
「!」
カミナの静止を振り切り、二人で外に飛び出す。
「…何これ」
そこで見た外の光景は、一変していた。

遠くで燃え上がる炎。崩れる建物。
悲鳴。逃げ惑う人々。
空を飛ぶ見た事の無い巨大な影。それを追うのはグラパール。
「シモン!」
そして現れるグレンラガン。

「…来やがったか」
カミナの声がして振り返った。
「…カミナ」
精悍な顔つきをしたカミナ。こんな顔をしたカミナを見るのは七年ぶりかもしれない。
「…どうしたの?」
「……」
掠れそうになる声を振り絞り問うが、返事は無い。
「…来た、って何が?」
この異常事態を、カミナが何か知っているのか。

しばし空中を睨み付けてから、カミナは私の肩を掴んだ。
「いいか、お前はここを離れろ。」
未だ空を睨み続けたままのカミナにはっとする。

今の『来やがった』という言葉は、先程カミナが言っていた、私に告げない『帰ってきた理由』と何か関係があるのか。
私の予感の通りに、カミナは掴んでいた私の肩を抱き、言った。

「よく聞け。これから良くない事が起こる。シモンやキタンや誰でもいいから大グレン団の誰かと一緒に居ろ」
そう言い、カミナが私に口付ける。

甘さを感じないキスだった。
(それって)
惜しむようなカミナの口付けに思考が混乱する。
誰かと一緒に居るという事は、カミナが居なくなるという事ではないか。

「…じゃあな」
「!!!」
予感通りにカミナが別れの言葉を紡ぐ。

(…えっ?)
言葉が脳の奥まで届かない。自分の声も出ない。
あまりにも唐突な別れに、思考が麻痺している。

(…また、カミナが行っちゃう)
今度は何年後に来る?
それとも今度こそもう会えないのか?

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