第3章 3部(裏有)
「…目、覚めたか?」
目を開けたらカミナの顔が目の前にあった。ぼやける目をぱちぱちさせ焦点を合わせる。
片手で頬杖をついたカミナが、隣で寝転んだまま私を見下ろしていた。
「何してるの?」
「お前の顔見てた」
てらいも無く言われ耳が赤くなる。
いつの間にか寝ていたようだ。毛布の下が裸という事に気付きぎょっとした。
「私、随分寝てた?」
「いや、ほんの少しだけだ」
「ちょっと服着るから。あっち向いてて」
「何を今更」
「いいから」
「散々見たけどな」
「…っ!」
今度こそ首まで赤くなって、枕を投げた。
ひょいと避けて、カミナは真っ赤になった私に口付ける。
「地上はいいな。明るいからお前の体がこんなによく見える」
「!!」
「地下の貧弱な光じゃ、お前がこんなに綺麗なんて、きっと知らなかったんだな」
恥ずかしげも無く言い放つカミナが楽しそうで、真っ赤になって呆れた私も、思わず笑う。
体を重ねても、カミナは変わる事は無い。
分かっていた事だけど、それがたまらなく嬉しい。
「そうだ」
不意に浮かんだ疑問を問い掛けてみた。
「カミナは今回はどうして帰って来たの?」
「そりゃお前に会うためだ」
「…!」
…今日のカミナはずるい。言う事が屈託無いくせに気障だ。
カミナの言葉にいちいち赤くなってしまう。
「…まあそれだけじゃねェけどな」
「どういう事?」
「何でもねェよ。お前は気にすんな」
カミナの困ったような笑顔がほんの少し気になった。
「それより」
困った表情は一瞬で消え、見覚えのある色づいた表情にすり替わる。
「ん?」
「もっかいすんぞ」
「えっ」
私の不安な気持ちは、滲む情欲と、数え切れないカミナの甘い口付けに飲み込まれてしまった。