第3章 3部(裏有)
唐突に、自分がバスタオル一枚だったという事に気付いた。
「きっ、着替えて来る!」
抱きついていた腕を解き、慌ててカミナから離れた。
「カミナも服着なよ。風邪引いちゃうよ」
照れ臭い顔を隠し踵を返そうと立ち上がると、カミナが私の手を掴む。
「もう少しこのままでいいだろ」
その手を引かれよろけた私は、寝台に座ったままのカミナに引き寄せられて、後ろから抱きしめられた。
「それに俺はお前の返事、ちゃんと聞いてねェよ」
「…!」
そうだった。私はカミナにまだ言っていない。
「なあ。お前は俺の事、好きか?」
頭の上から聞こえてきた言葉に、またも首まで赤くなる。
「す、好き…! カミナが好き」
どもりそうになる声だったが必死で答えた。
「私はずっとカミナが好きだよ! カミナに初めて会った時から…ううん、カミナに会う前から!」
だってカミナは私の憧れでおひさまで大空だから。
「ありがとよ。…お前に好きって言われると嬉しいモンだな」
「私も…嬉しい」
やっと言えた。
ようやくこの気持ちを伝えられた。
七年間になる長い長い片思いは、こんな形で実らせる事が出来た。
「カミナが好き…」
「俺も好きだぜ」
頭の上のカミナが囁き、大きな手が私の頬に触れ、自分の方に向かせた。
「ん」
そのまま、また口付ける。
今度のキスは長かった。
(…カミナ)
幸せでどうにかなりそうだった。
頬に添えられたままのカミナの手がなんだか熱くて、冷たい唇と対照的に感じる。
「――っ!」
突然私の唇が割られる。驚いていると、ぬるりとした感触の物が私の口内に入ってきた。
反射的に逃げようともがくが、後ろから抱かれ、頬も触れられいてた手に押さえられうまく動けない。
「…っ、んっ」
奥で縮こまっていた舌に、侵入してきたカミナの舌が絡みつく。
思わず力が抜け、伸びた舌を軽く吸われた。
舌の表面も脇も裏側も、それだけでなく口の天井や歯、歯茎。全てにカミナの舌が蠢く。
最後に唇を吸われ下唇を甘噛みされてから、ようやくカミナの唇が離れた。