第3章 3部(裏有)
嫌われてはいないと思ってはいた。好意は感じていた。
ただそれは友人としては少し度が過ぎるとか、甘やかされているなと感じる程度だと思っていた。
それになにより、カミナはヨーコが好きなんだと知っていたから。
私の方を向いてくれるなんて、思っていなかった。
「それにほら…カミナは選択肢が無いじゃない。世界中で私しかカミナの事見えないんだもん。それはきっと好きかも、っていう勘違いじゃ…」
突然の事に、言い澱んだ私はおろおろと目を泳がしてしまう。
「お前は俺を見縊ってんのか?」
私の言葉に不機嫌を露わにしたカミナが、声を低くして私を睨んだ。
「そんなつもりは…」
カミナの低い声にびくりと固まる。カミナは固まった私を見下ろし、言葉を続けた。
「俺には考える時間があった。狭くなった視野も旅をしてからそれなりに広くなった。それで出した結論だ。」
「…ごめん」
真剣な声色に身が竦む。謝罪の言葉が出るがカミナが遮った。
「謝んじゃねェ。いいかよく聞け」
「……」
「。俺はお前が好きなんだよ」
「…うん」
一瞬でも疑った自分が恥ずかしい。俯き口を結ぶ。
不機嫌になったように見えていたカミナだが、しょんぼりと落ち込む私に、不意に噴き出す。
「ははっ! …ったくお前は。俺も意地悪言っちまったな。…なんならもう一回言うか?」
「……うん」
「お前が好きだぜ、」
「…!!」
カミナの言葉なら全部を信じられるのを知っていたのに。
今度こそ私は、首まで真っ赤になった。