第3章 いざ煌帝国へ
練紅炎……第1皇子……?自分の顔が真っ青になっていくのがわかる。今迄目を開けるのさえも精一杯の筈だったのに飛び起きたかと思えば殆ど土下座するような体制で彼に頭を下げる。
「練紅炎…様…ッ、……失礼致しました。この御無礼お許しください…!」
名は知っていたが、まさかこのギラギラとした男だとは…。今からお世話になる国の第1皇子が目の前に居るとは一生の不覚である。
「顔を上げろ。そう畏るな。俺たちは同じ皇族となるんだ。そう身分の差は変わるまい」
「はぁ…。ですが………分かりました」
幾ら同じ皇族になるといっても第1皇子を目の前にそんな事気にするなと言う方が難しい。だが、紅炎様はそういっても聞いてくれそうにはないだろう。その目に逆らう事は出来ない。渋々ではあるが、こくりと頷いた。
「あの……父、国王は…。私の国の者達はどうなるのですか」
最も聞きたかったが、聞きづらかった事を彼の様子を見ながら問えば自分のビクビクと怯えた顔を鼻で笑われてしまった。
「お前の国は確かに煌帝国の傘下に入ったが、元国王も民たちも悪いようにはしない。安心しろ。」
「ありがとうございます……。」
ふっとその言葉に安心したかと思えば力が抜けてしまう。何より父も民たちも無事で良かった。最後に別れの一言すら交わせなかったのは寂しいが、自分一人煌帝国に連れて行かれようがそんなのは構わない。
もう少し時間が経てば、父にも会えるかもしれない…。そう期待を胸に今は大人しく煌帝国の言いなりになろうと心を決めた。