第6章 歓迎会
漸く会がおひらきになり、部屋へと戻ることが出来た。部屋に戻るなり、灯りもつけず、着飾られた宝石をとり、化粧を落とす。そして窮屈に縛っていた帯を解き、豪華な羽織を脱げば、長襦袢1枚となりベッドへと身体を埋めた。
明らかに部屋を出た時とは異なる自分の雰囲気にチャーシャが心配してくれたのか、くぅんと小さく鳴きながら、枕元へとやってきた。
「チャーシャ…慰めてくれるの?ありがとう…。私、これからどうなるんだろ。皇女に産まれたからにはこうして国の為に結婚しないといけないかもしれないっていうのは、分かっていたけど…突然過ぎて、受け止めきれない…。」
紅炎のことは、嫌いでは無い。顔も整っているし、第一皇子であるし、あの統率力からさぞ立派な武人であることは間違いない。だが、まだ会って2日だ。知らないにもほどがある。
恋愛には興味が無いと言っていながらも、こうした形で結婚となるのは、自分なりにもショックだったらしい。無意識にポタリポタリと涙が溢れ、枕が濡れていく。
国を守る為だと思えば、痛くも苦しくも無いはずなのに、何故か涙が止まらない。
不安と動揺で心がいっぱいいっぱいだった。
枕に顔を埋め、声を押し殺しながら、一人静かに涙を流した。