第15章 春が来た。
「谷本王子〜その女と知り合いなのー?」
「あぁ、彼女とは通ってた予備校が同じで人見知りだったんだ!」
「そうゆうことね〜いいな〜王子と同じ予備校だなんて!」
「そうよ〜羨ましいわ!」
冬華はさらに驚いた。
(谷本王子?彼女!?)
目の前にいる人物の姿は間違いなく夏なのだが、自分がよく知る彼の人柄と一致していなかった。彼は口調が悪く無愛想で、少なくとも人に囲まれるような人物ではないのだ。
固まっている冬華に構わず彼はさらに話しつづける。
「今日からは、同じクラスメイトとしてどうぞよろしく!」
一方的に話を終えると夏は教室から出ていった。