第15章 春が来た。
「ねぇねぇ、王子って予備校の時からあんな素敵な人だったのー?」
「素敵な人ねぇ!イケメンだし!私好きになっちゃいそう!!」
「独り占めはダメよ!王子は今日からみんなのものなんだから!」
先程の夏の取り巻きたちが話しかけてくるが話が入ってこない。
(どういうことなの?本当に夏なのかしらあの人は。)
冬華は自分の席でしばらく呆然としていた。
しばらくすると教室のドアが開いた。
「あ、間宮さん!さっき先生が呼んでたよ!」
そういって声をかけてきたのは夏だった。
「キャーー!王子ー!」
取り巻きは黄色い歓声を上げる。その様子に冬華は
(うう、行きづらい)
冬華は声をかけてきた夏を疑いながらも応じて教室を出た。