第6章 じゃんけん
「おい、勝手に決めるな。俺になんの得もねぇじゃないか。」
夏はやはり勝負を受ける気は無かった。だが彼が負けず嫌いなことを知っている冬華は
「……フフッ負けるのが怖い?」
ボソっと呟くと夏は一瞬ピクッと震えて少しの沈黙の後
「誰が負けるのが怖いだって?いいぜ。その勝負乗ってやるよ。」
(よし、乗ってきた!)
冬華は夏の負けず嫌いな性格につけこみ、勝負へと繋ぐことに成功した。一見じゃんけんは運任せのように見えるが冬華にとっては少し有利な勝負だった。百発百中とまではいかないが、今まで生きてきた中でじゃんけんでの勝率が高くほとんど負けたことがないのだ。
「じゃんけんで先に3回勝った方が勝ち。いいね?」
これで運悪く一回負けたとしても後から立て直せる。
「……構わん。)
「それじゃあ行くよ?最初はグーじゃんけんーーー」