第4章 手合わせ
そこにいたのは一緒に住んでいる彼だった。
普段と違ってダークヒーロー風のコスチュームを身に纏っている。深くフードを被っていたがそこから覗く金髪と端正な顔は間違いなく彼だった。彼も武術家だったのか。だが普段は見えない綺麗に鍛え上げられた肉体を見て並外れた努力をしてきたのだろうと冬華は思った。そしてあの動き、彼は自分と同じ中国拳法の使い手である。こんな偶然があるのか、と考えたが彼は創月の知り合いだ。おかしい話ではない。そう思いながら見ていたら彼も人の気配に気づいたのか動きを止めた。
「……誰だ。」
しまった。隠れて見すぎてしまったようだ。冬華は諦めて彼の前に姿を現した。
「谷本くんも中国拳法の使い手なのね。」
「またお前か。言ったはずだ。俺にお前と戯れる暇などない。」
また突き放すようなことを言われたが冬華は諦めない。そして冬華は先ほどの一連の動きを見てある考えを思いついた。