第15章 春が来た。
2人は廊下を歩く、だが
「ねぇ、確か職員室ってこっちの方向じゃないよね」
冬華はそう問いかける
「あぁ、ごめん!先生に呼ばれているっていうの、あれ嘘なんだ。本当は君に話したいことがあってね」
そういうと夏は屋上へと向かっていった。
屋上につくとそこには誰にもいなかった。2人はしばらく黙り込む。先に口を開いたのは冬華だった。
「えっと、夏だよね?久しぶり」
「あぁ。」
「あなた今までどこにいたの?」
「……俺はこの一年間、師父と共に修行の旅に出ていた。」
夏の口調は以前のように戻っていた。
「師父ってまさか!」
「そうだ。俺の師父はお前がよく知っている拳豪鬼神、馬創月。」
「そう、創月が私を置いて夏と放浪してたってわけね。勝手にあんなメッセージだけ残して消えて、私連絡したのにどうして1通も連絡返してくれなかったの?」
冬華は再会して嬉しい気持ちとは裏腹に怒りや疑問が勝り、それを夏にぶつけていく。
「俺には必要ないことだと判断したまでだ。」
「それに!さっきのあの演技はなんなの!?人が違い過ぎて鳥肌よ!それにラグナレクに入ったっていうのも本当なの?」
「あれは人を欺くための演技。ラグナレクには人を統率する力を得るために入ったまでだ。もういいか?俺から言いたい事は1つ。俺の邪魔だけはするな、絶対にな。」
「待ちなさい夏!あなたに聞きたいことがまだ山ほど、、!!」
冬華は引き留めるも、夏は応じずに屋上を出た。
(……なんなのよもう、ずっと伝えたいことがあって待ってたっていうのに。それにあの目、前よりも冷たくなってた。何かありそうね)
冬華はこれ以上ここで考えても仕方ないと思い、屋上を後にした。