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【アイナナ】明日は晴れ【i7】

第1章 私の進む道


⑅⃛

とりあえず、今日は一旦帰ることになった。
これから芸能活動をする上で、住居がセキュリティがなってないといけないとかで、今後は社長達が用意してくれたマンションに引っ越すことになりそうだ。


「菜緒!」


事務所から少し歩いたところで、聞き覚えのある声が私を呼んだ。振り向けばさっきまで一緒だった三月と、その弟の一織だ。


『…どうしたの?』
「どうしたの?じゃねーよ。聞かせてもらうからな?いろいろと。」
「さっきはメンバーがいたので控えていましたが、兄さんと自分は聞く権利があります、そうですよね、菜緒姉さん」
『………』


なんにも追求してこないんだなと思ってはいたが、そういうことか。メンバーがいたから、追求したくても我慢していたってことか…。


『…家くる?』
「え、いいのか?」
『こんなところでする話でもないでしょ?近くなんだ、ここ。三月たちは仕事は大丈夫?』
「えぇ、今日はオフですから」


じゃあ、と私は歩き出す。それに続いて、黙ってついてくる2人。
昔と、逆だ。
いつも私は、2人の後ろをついて回って。
いつだって、前を見て歩いていたのに。


「逆だな、昔と」
『え?』
「ほら、菜緒は幼い頃、いっつも俺と一織の後ろをちょろちょろとついてきてただろ?俺らが高校生になっても、それはずーっとだったし」
「そうですね」


だから、昔と逆だなって
そう、はにかんでる彼はやっぱり昔と変わってなくて。大好きなままの彼で、それでいて、昔のことを覚えてくれてて、すごく嬉しかった。


『どーぞ』
「お、お邪魔します…」
「お邪魔します」


彼ら二人を家に招き入れ、リビングにあるソファに腰掛けるように伝えてキッチンに入る。
お茶でいいか聞いて、返事をしたことを確認し、冷蔵庫を漁る。


『…なんでそんなに、緊張してるの?』
「え?!…いや…」
「兄さん、女性の部屋に行ったことないからですよ」
「ばッ!こら一織!」


顔を真っ赤にして一織に抗議する三月。
…そんなことされちゃ、期待しちゃう。本当にやめてほしい。


⑅⃛
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