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【アイナナ】明日は晴れ【i7】

第1章 私の進む道


⑅⃛


「採用です!」


紡さんから大声で言われてから数日。
やはり女ということもあって、セキュリティが万全なマンションに引っ越すことになった。(寮は今アイドリッシュセブンが使っててマネージャー以外の出入りが分かればマスコミに張られるだろうとのこと)


「うっし…これは、ここでいいか?」
『はい、大丈夫です。ありがとうございます。』


引越し業者に頼んだのは大きなもので、小物やダンボールは二階堂さんと紡さんが車で運んでくれた。二階堂さんは家具配置まで配慮してくれてとても助かる。


「…しっかし、見事に本は法律関係ばかりだな…六法全書なんて、ドラマでしか見たことねぇよ…」
『…まぁ一応…法律家目指してるんで…』
「そか」


部屋もだいぶ片付いたし、あとは服とか自分のスペースを作るだけだ。
私の部屋は1LDK。マンションの8階、角部屋、1番奥の部屋だ。
何かあっても非常出入口が1番近い場所、高めの場所、そして、人の接触が少ないところ。そうして決められた。


「…なぁ、どっかで、歌ってただろ、お前さん」
『…え?』
「俺、絶対聞いたことあるんだ。俺がまだ高校生ぐらいの時かな…遠くに連れてこられた時に、ふと目に付いた公園があって。そこに砂場に落ちる滑り台があったんだ。その1番上に、じっと目をつむって立ってる、女の子がいてさ。危ないの分かんねぇのかなって思った。思った時だったんだ。その子が、歌い出したんだ。」
『…………そうなんですか』
「聴いてすぐ思った。こいつ、歌手とかだろうなって。じゃなくても、バンドやってるか、レッスン受けてるか。俺の知る限り、芸能人でもそうそういない。歌に込められた気持ちっつーのかな。それをダイレクトに伝えられる歌って、すげえなって」
『……そんな人いるんですね』
「あんただろ?…菜緒…まぁ隠していたいなら、それでいいんだけどよ。…ミツやイチも、知らない感じだった。…なんで幼なじみに隠したりするんだ?いいことなのに…」
『あなたには関係がないんですよ、二階堂さん。』
「関係あるさ、菜緒」
『…はぁ?』


私は苛立ちを覚えた。まさか、1人の空間を見られていたなんて、知らなかった。


⑅⃛
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