第1章 私の進む道
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そこには三月たち含めて5人がいて、それぞれ自己紹介してくれた。
私も名前だけ伝えて座ろうとしたらら三月がそばにきて前の席に座る。
「何してたんだ?」
『え?えっとー…ちょっと休憩にね。今日は授業もう終わったから…』
そっか、なんてニコニコしながら私の話を聞いてくれる。あぁ、変わってない。でもそんな笑顔向けるのはやめて欲しい。また、閉じ込めていた気持ちが溢れそうだ。
「あ、携帯番号変えただろ。教えてよ、ラビチャも」
『え?あぁ…うん』
彼から言われたら断れず、震えるのを抑えながらラビチャ交換を、済ませていた頃。
後ろからまたもや聞き覚えのある声と名前がした。
「万理さん、もう時間ですか?」
「うん、そろそろだから、迎えに来たよ」
『…?大神…さん?』
「…あれ、菜緒さん?」
またもや、知り合いというかなんというか。
赤い髪の子(陸とか言ってたかな)が知り合いなのかと問われ、大神さんが説明してくれた。
「社長が、前からスカウトしてる子だよ。何回かうちの事務所にも来てくれてるんだけど、まだいい返事もらえてなくてね…」
『わたしにアイドルなんて出来ませんから…』
そんなことないと思うんだけどなーなんてニコニコしながら言われても、しょうがないというか。
今まで考えたことも無いことだった。突然の話だったから。
「…なんでまたスカウトするんですか?」
「なんだったかなぁ…いつだったか、社長が路上ライブを見に行った日があってね。そこで助っ人みたいな形で歌っていたのが彼女なんだ。その歌声、本当に綺麗でね。俺も感動したのを覚えてるよ!」
『いやいや』
やっと帰れるーと思った矢先に社長さんからスカウトされて、事務所にも何度も呼ばれて行ったけど、やっぱりやる気にならなくて、そんな失礼なことは出来ないと断り続けている。
「…菜緒、やってみたらいいじゃん!俺らといこうぜ?」
『…いや、どこに…?』
「事務所!」
そう言って私の手を握って目をキラキラさせてる。
もう、この人には本当に叶わない。
仕方なく、彼ら、アイドリッシュセブンについていくことにした。
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