第5章 難航
*
自然と目が覚める感じだった。
さっきまで見ていた夢を思い出せない。
……ここ、どこだっけ。
明かりのついてない部屋は、日差しが差し込んでいるのか明るかった。
自分の家ではないのがわかってながら、もう一度瞼が下がっていってしまう。
ああ、そうだ。
昨日昴とシたんだっけ……。
「……ん」
まだシーツに包まれたままでいたくて、枕に頬を擦るように顔を埋めた。
枕めちゃくちゃいい匂い……。
普通男の人って男用のシャンプーとか使ってるのかな。
昨日はそんなにいい匂いとか気にならなかったけど、匂いを嗅いでおけばよかったかも。
後で聞いてみようかな。あー、でもどうでもいい気もする…。
体勢を変えようと足を動かした時、シーツが素肌に触れる感覚を覚えた。
……?
バサッと布団をめくると、一枚も服をまとってない。
軽い衝撃を受けて落ちかけていた瞼も開いて目が覚めた。
ベッドで寝落ちならまだしも、普通服脱がす…?
ショーツぐらい着せてくれても……。
そういえば、もう一度穿くには濡れすぎていたような気も。
お酒をこぼしたせいでシャツもびちゃびちゃだったし、脱がされて普通か。
お風呂入ってない私に服を貸すのも嫌だろうから。
それ以前に服を着せてくれる昴が想像できないんだけどね。絶対脱がす専門だよ、ムッツリめ。
見渡せばシンプルな色調の部屋で、昴が普段寝ている場所だと予測できた。
肝心の昴がいないし時計もないしで、今何時なのか昴が家の中にいるかもわからない。
閉まったカーテンの先を見るには、外の通行人には見せられない格好だし。
明るさや眠った感覚からすると午前10時ぐらいは過ぎてるんじゃないかと思うけれど。
私だけ置いて家を出て行くとは思えないし、とりあえず昴を探してみるか。