第2章 喫茶店
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ジンを玄関で見送り、リビングのソファにダイブする。
「ねむ……、ジン殺す」
あまりの眠気に何故かジンに腹が立つ。
昨日呼んだのは私だとか関係ない。やっぱりジンは勝手なことが多すぎる。
ご飯作ってやったのに、ありがとうの一つも言えないなんてどうかしてる。
一回倫理的なことを一通り教えてやりたい。
先に食器を洗って寝るか、一回寝てから洗うか……。
迷いながらスマホを手に取り、バーボンにかける。
十秒ほどでバーボンは出た。
「はい、安室です」
「私。今日って毛利探偵の事務所の下の喫茶であってる?」
「……」
ジンには悪いけど、探り入れるどころか怪しまれてることバラしに行くけど別にいいよね?
まだバーボンが例のNOCと繋がってるって決まったわけじゃないし。
……まあ最有力って言われても仕方ないくらい、あの顔ぶれだとバーボンしかNOC思いつかないけど。
「はあ……」
黙ったかと思えばため息をついて、バーボンの仮名「安室」は言う。
「貴女、本当にえげつない情報収集力ですね。そもそも僕、安室の電話番号を教えた覚えはないんですが?」
「で、あってんの?」
「教える必要は無いでしょう。言わなくても来るんでしょうから、はい、と答えますが。あまりバーボンの時以外は接触しないでいただきたいのですが」
おお、嫌そうだ。
バーボンよりも安室の方が、本当の姿に近いらしく珍しく怒った声が聞けた。
朝からちょっとサプライズだな、これは。
「了解、じゃあお昼ぐらいに行くね」
「あ、ちょっとーーー」
ブチッ
スマホを寝転んだソファの上部に投げ、目を閉じる。
おそらくバーボンからの折り返し電話がなっててうるさいから、電源を落とした。