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【名探偵コナン】stimulation【R18】

第1章 月の夜


でもそれじゃ物足りない。
付きまとうリスクとは死のことだから。
疑われたままは、気分が悪い。


「疑ってるの?」
「……取引を知る以上、全員が疑いの対象だ」
「そっか」


ジンにとってはジン以外が全員疑いの対象。
ジン以外の中でも、他の人よりも特別に思われているって勝手に思ってたから。
ちょっとだけ腹が立った。


「お前が裏切るとは誰も思ってない。あくまで形だけだろ」
「……!」


呆れた声色なのは、きっと私の感情を読み取って子供っぽいとか思ったからだろう。
でも、素直に嬉しいと思った。


「私も、誰も疑ってない……。ジンのこと、信じてるよ」


微かに、ほんの小さな音だけど、ジンが笑ったような気がした。
調子に乗って、ベッドの上を転がりながらジンにぴったりとくっつく。
さっきは突き放してきたくせに、今度は大人しく私にされるがまま。


寄り添うと昔を思い出す。
あの頃はまだ、ジンは隣で眠る私を抱きしめ頭を撫でてくれていた。


ジン……。
名前も知らない、ただ一人の私の家族。


「ありがとう、ジン」


昔と変わらず信じてくれて。

数分後、眠気が襲ってきて意識が深くに潜り始めた。
ジンのこと、布団や枕の感触さえも感じなくなった時……不意をつくようにジンは言った。


「バーボン」
「……」

「ヤツが一番の候補だ。1ヶ月の間に探っておけ」


動揺を隠すのに精一杯だった。
コクンと小さく頷く。
ライが死んだことをまた思い出して、嫌な考えが簡単に思いつく。




一ヶ月後、バーボンは殺されるーーー。
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