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刀剣乱舞/天朱

第3章 護ってきた者、護られてきた者


「ここにいる者達は皆、その付喪神達だ。さっき清が…加州清光が、自分達は刀だと言っていただろう?それはこういう事だ」
「…刀の…付喪神……それを、お兄ちゃんが人の姿にしてる、ってこと…?」
「そういう事になるな」
にわかには信じがたい、という表情。真朱はちらりと並び座す男性達を見た。どこからどう見ても人間そのものだが、一部の者の傍らには、刀が添えられている。
「こいつらは総称として、刀剣男士と呼ばれている。刀剣男士達を率いて時間遡行軍と戦うのが、審神者だ」
「………」
状況はわかった。だが、疑問に思うことは、ある。
「…どうして、お兄ちゃんなの…?」
「…」
「どうしてお兄ちゃんが、しないといけないの?」
当然の疑問だ、と悠青は思う。
「俺だけじゃない。審神者は何人もいるんだ。それぞれの審神者にそれぞれの本丸と、それぞれの刀剣男士達がいる」
「でも、だからって、お兄ちゃんが……」
そこで、はっと真朱は気づいた。眉をきゅっと寄せて兄に詰め寄る。
「まさかこれもあたしの代わりってことじゃないよね!?」
「…真朱」
知って、いたのか。その言葉は声にはならなかったものの、彼女には伝わったようだ。口を引き締めて彼の答えを待っている。霊力が高いが故に様々なモノに手を出されそうになっていた彼女を護っていたのは悠青だった。代わりに踏み出す事で、彼女が狙われるのを防いできた。
悠青はわからない程度に小さく息をついた後、自分を心配する妹の目を真っ直ぐ見据える。
「確かに、今まで俺は、お前に手を出されないようにしてきた。それは認める」
「っ」
「だが、これは別だ。こんのすけが〝俺〟の前に現れて、〝俺〟を必要としてくれた。だからこれは、お前の代わりじゃない。〝俺〟の役目だ」
「……」
「なんで俺が、という部分は、政府が選んだとしか言えないけどな」
そう言うと、悠青は俯いた真朱の頭を優しく撫でた。
「ありがとな、心配してくれて」
「…ばか」
怒りのこもっていないそれに、悠青は小さく笑みを浮かべる。様子を見守っていた刀剣男士達、その中で加州清光が「へー」とこぼした。
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