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刀剣乱舞/天朱

第3章 護ってきた者、護られてきた者



広間に移動し、ひとまずあたたかいお茶で落ち着く。その間に、加州清光が各方面の一部に声をかけてひとを集めていた。広間に揃ったのは、悠青の近侍である加州清光を始め、一期一振、燭台切光忠、膝丸、石切丸、太郎太刀、そして第一発見者である鶴丸国永。悠青はまず、集まった者達に真朱の紹介をした。
「こいつは俺の妹の真朱。なんというか…ちょっとした〝手違い〟でここに現れた」
「手違い…?」
それは誰の呟きだったか。悠青は「あぁ」と頷き、言葉を続ける。
「いなくなった俺を探して神に頼みを告げてしまったらしい。真朱は俺よりも霊力が高く、神も手を出しやすい。俺がここにいるのは時の政府によるものだが…真朱は、神の力でここに来たと言える」
「つまり、主の世界ではそれは、神隠しという事では…」
太郎太刀の言葉に、悠青は僅かに眉をひそめて頷く。
「だから現状、帰す手立ても無い。しばらくはここにいる事になるだろう。…勝手な都合で申し訳ないが、よろしく頼む」
「そういう事情があるのでしたら、致し方無いというもの。承知致しました」
丁寧に、柔らかな笑みを浮かべる一期一振を見て、真朱はほっと胸を撫で下ろした。悠青は一同を見渡し、反応を見る。否を唱える者はひとまずいないようだ。
(何か思うところがあるようなやつはいるが…)
その金の双眸は何を写しているのか。ひとまずは置いておくかと、悠青は真朱に顔を向けた。
「さて、ここがどこで、俺がなぜここにいて、彼らが何者か、だが」
兄の言葉をきいて真朱がパッと彼を見る。
「まずここは、西暦2205年。特別な空間にある、本丸と呼ばれる場所だ」
「…え?」
まず、予想外すぎる答えに真朱は開いた口が塞がらない。だが悠青は、その様子を見つつそのまま続けた。
「時間遡行軍と呼ばれる人ならざる連中が、歴史を変えようと動いている。それを阻止する為に、俺は審神者として時の政府にこの時代に呼ばれた。審神者とは、刀剣に宿る付喪神を人の形に顕現させ、戦わせる者。…ここまでいいか?」
「よ…くない、けど……きく」
「ん」
わかった、と頷き、悠青はさらに続けた。
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