第3章 護ってきた者、護られてきた者
「さて、部屋は…俺の近くが一室空いていただろ。あそこで頼む」
「わかった。それじゃあ、行こうか、真朱ちゃん」
「はっ、はい!」
「そんな畏まらなくていいよ。主の妹さんなんだし。ね、鶴さん?」
「…まぁ、好きにしたらいいさ」
肩をすくめ、鶴丸国永は広間を出て行った。「鶴さん!」と燭台切光忠が呼ぶが、彼は戻らなかった。
「もう…ごめんね。いつもはあんな感じじゃないんだけど…」
「いえ…あたしが何か、気に触ることしちゃったのかもしれないし…」
「…」
二人の会話を聞きながら、悠青は鶴丸国永が出て行った位置を見つめる。
(何か思うところがあるんだろうが…)
ひとまずは様子見か。悠青は小さく息を吐き、後を燭台切光忠に任せて広間を後にした。