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刀剣乱舞/天朱

第3章 護ってきた者、護られてきた者



「悠青がお兄さんしてる」
「…俺は兄だって言っただろ」
思わずジト目を向ける彼に、加州清光は面白そうに笑ってみせた。
「だってさぁ、俺達に対してとは表情が全然違うんだもん。ちょっと妬けちゃうよなー」
ねー、と他の刀剣男士達に同意を求める加州清光。彼らは苦笑したり押し黙ったりだった。言われた悠青本人は、無意識なのか渋い顔をして口を噤んでしまう。だがすぐに咳払いをし、話を元に戻した。
「まぁ、そういうわけだから、帰るわけにはいかないんだ。わかってくれるな?」
「…うん」
「それで…お前を巻き込んで悪いが、すぐに帰す事ができない」
「うん」
「そこでだ」
悠青は一同を見渡し、視線を一部方向で止める。そこには黒と白、真逆の二人。
「燭台切光忠、鶴丸国永、お前達に真朱の世話を頼みたい」
「…何だって?」
目を細めて返したのは鶴丸国永。燭台切光忠はその片目をぱちぱちと瞬かせている。また、真朱も兄を凝視していた。
「なに、世話といってもつきっきりになってくれとは言わない。家事手伝いは大いに使ってくれて構わないし、ようはここの生活の説明やらの面倒を見てくれということだ」
「なるほどね、わかったよ。ね、鶴さん?……鶴さん?」
悠青の説明を受けても、彼は目を細めたまま兄妹を見つめていた。だがやがて、息を一つつくと、「わかったよ」と返事をした。
「ありがとう。お前達二人に押し付けるなんて事はしないから、皆も良ければ手を貸したやってくれ」
「承知致しました」
「任せておくれ」
「承知した」
各々が頷き、悠青もそれに返す。あとは兄弟達や同刀派、組の者達に伝えてくれればいい。説明も終わったし、解散、というところで、真朱が「あのっ」と声を上げた。
「遅くなりましたがっ、天刃真朱です!その、ご迷惑をお掛けすると思いますが、よろしくお願いします!」
そして深く一礼をする。刀剣男士達はその様子に微笑み、口々に「よろしくお願いします」と返した。
「よし、では解散」
悠青の号令に、一同は広間を後にしていく。残ったのは悠青と真朱、そして燭台切光忠と鶴丸国永。加州清光は、新撰組刀達に知らせる為に広間を出て行った。
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