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刀剣乱舞/天朱

第1章 兄を捜して







《支える者であれ》









だんだんと、意識が浮上してきた。ぼんやりとする頭を支えながらあたりを見渡してみる。暗くてよく見えないが、どこか室内のように思えた。足元に手を滑らせてみる。先程まで居た祠の地面は土だったが、この手の感触は、慣れ親しんだ畳だ。徐々に慣れてきた目をこらしてみると、やはりここは室内で、和室だという事がわかった。物が多く、物置部屋なのではないかと推測される。
「どこ…ここ…?っ!?」
ぽつりと呟いた時、ピリと肌に触る気配を感じた。実際に触られたわけではない。所謂殺気に似たような、だがこれはどちらかというと霊的なそれで。どうやらそれは、木戸の外から発せられているようである。
真朱は身をかたくした。カタ、と小さく音を立てて、やがてゆっくりとその戸が横にスライドされていく。一気に差し込んできたきた外の光に思わず目を細めた。
目に飛び込んできたのは白。光の白かと思えば、どうやらそれだけではなかった。衣も、髪も、肌も、上から下まで美しいほどの純白。唯一その金の双眸だけが、射抜くような眼差しで、真朱の姿をとらえていた。


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